食品および飲料業界で適切な人材を配置するには？課題とその対処方法を紹介

レストランにおける適切な人員配置とは?

そもそも人員配置とは「各店舗の利益率を最大化するために必要最小限の人員を投入すること」であり、必要な従業員数を満たすことがすべてではありません。
必要最小限の従業員を雇用する必要があり、従業員は利益を上げるように配置する必要があります。

店舗あたりの従業員数の決定方法

必要な従業員の数は、通常、店内のテーブルと座席の数に基づいて決定されます。

例えば、客数が40名の場合、責任者である店長が1名、ホールで接客担当が2～3名、調理担当が2名、洗い場にスタッフが1名となります。この人員数の根拠として、ホールに必要な従業員数は「店内の席数÷4（＝適切なテーブル数）÷4＝適切な人数」という考え方があります。
ランチとディナーのピーク時の必要人数だけですが、上記のように40名のキャパシティの店だとすると、必要な従業員数は6～7名になります。

人件費

ここでは、飲食店経営において重要な人員配置を考える上で必要な指標、「人時売上高」と「売上高人件費比率」の2つをご紹介します。
まず、時間あたりの回転率について話しましょう。簡単に言えば、工数売上は、従業員が1時間でどれだけの利益を上げているかの尺度です。

「人時売上高＝店舗の月間売上÷従業員の総労働時間」で計算できます。

これらの労働時間は、正社員、パートタイム、パートタイムの従業員の労働時間を指します。
例えば、月商200万円の店舗があり、従業員の総労働時間が200時間だとすると、その店舗の工数売上は1万円になります。月間売上400万円、総労働時間800時間の店舗の場合、工数売上高は5,000円。この数字は、店舗の人員配置が適切かどうかを判断する指標の1つとして活用できます。

次に、売上高人件費率を見てみよう。簡単に言えば、会社の売上高に対する人件費の比率です。

「売上高人件費率（％）＝人件費／売上高×100」で算出できます。

売上に対する人件費の比率が高いということは、人件費が会社の利益を圧迫していることを示しています。一般的には40%が目安で、人件費が経営上適切かどうか判断できます。

飲食店の人員配置最適化のメリット

人件費を最適化できます

人件費を最適化するための重要なポイントの1つは、オフピークのランチとディナーの時間帯の人件費をいかに抑えるかです。
レストランは常に特定の時間にピークに達します。

例えば、平日のオフィス街の店舗であれば、ビジネスパーソンは繁忙期の12時から13時まで一斉に休憩を取りますが、土日祝のランチタイムは暇な時間になることもあります。また、繁華街では夜の19時からビジネスマンなどが一斉に食べに来ます。一方、ランチタイムは閑散期と見なすことができます。
閑散期の稼働率は非常に低いです。当然、閑散期と繁忙期に同じ人員配置を行うと、人件費の余剰コストが増加します。
まず、正社員は仕事をしていなくてもお金を払い続ける必要があるため、飲食店では必要最小限の正社員を採用することが効果的です。

その上、繁忙期に人員を多く配置する必要がなく、逆に繁忙期に人員を配置する必要がないので、残りはすべてアルバイトまたはパートの従業員であり、必要に応じて人数を調整できるようにします。

従業員管理に便利

短期間だけ従業員が必要な場合は、アルバイトを利用することをお勧めします。
事務職などでないと時短は難しいと考え、率先してアルバイトを採用しない経営者が多いのが実情だと思います。しかし、この短期間でアルバイトを利用することには、さまざまなメリットがあります。
店長などの管理監督者は、自分の仕事に集中できるよう、できるだけ長時間働けるアルバイトを好む傾向にあります。ただし、1日3時間、2時間程度働けるアルバイトを雇うことも効果的です。
これらのアルバイトは労働時間が短いため、時給を少し下げても、空いた時間に働きたい学生や主婦は確保できるかもしれません。

短時間勤務をすれば、健康保険や厚生年金に加入しなくてもいいので、社会保険料を払う必要はありません。そして何より、繁忙期の人手が必要な時だけ人を集めることができます。これにより、最も忙しい時間帯に出勤してもらうことができます。これだけで、人件費の大幅な削減につながります。

飲食店でスタッフを適切に配置するのが難しいのはなぜですか?

飲食店における人材配置の課題

外食産業全体の人手不足

飲食店における人手不足の原因の一つに、ニュースでもよく取り上げられる「長時間労働」と呼ばれる労務管理の問題があります。最近もある会社の社員が過労自殺するというニュースがありました。
「飲食店＝ブラック企業」という認識は、学生や求職者、主婦の間でもすでに広がっているようです。
また、アベノミクスによる景気回復により、人手不足の企業が増え、募集をしても人が集まらないという課題が業界全体にあります。

アルバイト定着率の低下

最近の若者の間では、叱られたら即日退職する傾向があります。他にもたくさんの仕事がある売り手市場なので、負担のかかる職場にはわざわざ行きません。
現在の有効求人倍率は1.52倍。過酷な職場で働くアルバイトは少ないのが現状です。

課題への対応

人手不足への対応

人事担当者は社員の長時間労働に特に気を配っているかと思います。従業員に長時間労働を強いる企業は、もはや社会の敵とみなされることでしょう。
摘発された企業は「ブラック企業」と呼ばれ、採用が難しくなるだけでなく、操業停止に追い込まれるケースも少なくありません。
短時間のアルバイトを採用するためには、管理職や監督者が定時で出勤できる体制を整えることが重要です。具体的には、人事担当者がいる場合、店長などの管理監督者が従業員の残業時間を人事担当者に報告することが有効です。

第三者の立場からの監査は、無駄な残業の削減につながります。
また、時間単位で有給休暇を取得できるようにするなど、明確に空いている日や仕事がない日には早期に退社できるようにすることも有効です。有給休暇の取得促進など、人件費を最適化する環境を整えましょう。

パート社員の定着率低下への対応

アルバイトの定着率を上げるコツとしては、定期的に社員との面談を行うことが効果的です。例えば、項目ごとにチェックシートを作ってみる方法があります。具体的には、上司の指導に無理がないか、人間関係はうまくいっているか、体力的に仕事についていけるかなどを聞いてみるとよいでしょう。
ここで重要なのは、第三者の立場である人事担当者と、直属の上司以外の上司がメンターとなるということです。目の前の上司に否定的な意見を言えるアルバイトは少ないです。アルバイトの不満を聞き、労働環境の改善を目指します。

飲食店における適切な人員配置の取り組み

労働時間管理による人件費の抑制

人件費をより適切に管理するための鍵は、適切な時間管理です。
このため、店長や人事担当者が従業員の勤務時間やシフト、人件費などを一元管理できる勤怠管理システムの導入が有効です。
長時間労働の問題は、店長などの管理者が誰が残業をしているのか、どのくらいの残業をしているのかを把握していないことや、人事が従業員に残業時間を知らせていないことも原因となっています。
残業時間の把握だけでなく、現場の状況も把握する必要があります。お客さまが明らかに少ない時間帯に、1時間単位で休憩できる体制を構築することが有効になります。このため、時期ごとの売上などの数値データを把握する必要があります。
例えば、月曜日の何時から何時まではお客さんが少ないので、アルバイトの少ないシフトを組んだり、その時間帯の前後に短時間のアルバイトを入れたりすることができます。
データを見える化することで、適切な人員配置が可能になり、現場のスタッフが負担にならず、コスト削減が可能になります。

従業員への適切な仕事の割り当て

仕事の量や内容は社員のモチベーションと密接に関係しています。繁忙期と閑散期では業務量が大きく異なるため、従業員一人一人の負担が重すぎず、逆に軽すぎないように適切な人員配置と業務配分を行う必要があります。
従業員が忙しすぎたり、怠けすぎたりすると、モチベーションが低下することがよくあります。忙しいときは人数を増やし、忙しくないときは人数を減らす努力をしないと、社員は離れていきます。
次に仕事の内容です。仕事の内容は、仕事の難易度や社員の能力に応じて決めなければなりません。
たとえば、難しいタスクをいつでも処理できる従業員がいるかどうかを知り、そうでない場合はサポート体制を整えておく必要があります。どんなシチュエーションでも仕事ができるよう、社員の能力に応じたシフトを組み、個々に適した役割を割り当てることが重要です。
シフト管理システムを利用することで、能力に応じた人員配置や役割分担を便利に行うことができます。